太陽光パネルと電力供給

太陽光パネルを使用した電力供給とは、具体的にどのように活用されているのでしょうか。 

 

1. 家庭用電力供給   

家庭での太陽光発電システムは、屋根に設置した太陽光パネルを使って家庭内で使用する電力を供給します。
家庭用のシステムを導入することで月々の電気料金を削減することができますが、導入する場合の一般的な各数値は次のようになっています。
 

・ 太陽光パネルの容量
 
例えば、5kWの太陽光パネルシステム(約15〜20枚のパネル)が設置されることが一般的です。 

・ 年間発電量 

日本の平均的な住宅であれば、年間約4,500~5,500kWhの電力を生成できます(地域や天候、設置場所によって異なる)。

・ 年間の電気料金削減 

家庭の年間電力消費量が約4,000~5,000kWhの場合、仮に5kWの太陽光システムを導入すると、年間の電気料金を約10万円~12万円削減できることが多いです(1kWhあたり約25円の電気料金を想定)。

・ 余剰電力の売電

家庭で使用しきれなかった電力(余剰電力)は電力会社に売ることができますが、近年は低価格化が進んでいます。 
※2024年度(令和6年度)の価格

  ◦ 10kW未満(住宅用太陽光発電):16円/kWh(税込み) 
  ◦ 10~50kW未満(産業用太陽光発電):10円/kWh (税別) 
  ◦ 50~250kW未満(産業用太陽光発電):9.2円/kWh(税別) 

ただし、これらはFIT制度が適用された価格で、10kw未満は10年、10kw以上~250kw未満は20年という期限付きの価格となります。
太陽光発電を設置して10年経過すると売電期間が終了するので、一般的には売電単価は大幅に下がる傾向にあります。 

 

2. オフグリッドシステム 

電力網に接続せずに太陽光パネルと蓄電池を組み合わせて電力を供給する「オフグリッドシステム」は、特に、電力供給が難しい農村部や山間部、災害時などで使用されます。 

・ 太陽光パネルの容量 

例えば、1.5kWの小型太陽光発電システム(約5~6枚のパネル)を使用。

・ 蓄電池の容量
 
太陽光発電システムと併用する蓄電池は、2kWh~5kWhのものが一般的です。
これにより、太陽光が発電できない夜間でも電力供給が可能になります。 

・ 日常的な電力消費量 

オフグリッドシステムを使用する家庭での平均的な電力消費量は、1日あたり3~5kWh程度です。
この場合、1.5kWの太陽光システムで1日あたり4kWh程度の電力を発電できるため、蓄電池に電力を貯めて夜間に使用できます。
 

 

3. 商業施設や企業の電力供給

商業施設や企業の屋根に太陽光パネルを設置して、自社の電力需要をまかなう事例が増えています。
太陽光発電によって施設の運営コストの削減や環境負荷の低減が実現します。 

・ 太陽光パネルの容量

中小規模の商業施設(例えば、飲食店や小売店)の場合、10kW~50kWのシステムが設置されることが多いです。大
規模施設では100kW以上のシステムを導入することもあります。

・ 年間発電量 

10kWのシステムの場合、年間に約10,000~12,000kWhの電力を発電できます。
これにより、年間の電気料金を約25万円~30万円削減できる計算になります(電気料金単価25円/kWhで計算)。

・ 自家消費率

商業施設や企業での自家消費率は、太陽光発電で生成された電力のうち、実際に自社で消費される割合を示します。
自家消費率が50%~70%であれば、電力料金の削減効果が高くなります。  

 

4. EV(電気自動車)の充電

太陽光パネルを使って自宅の電気自動車(EV)を充電する事例も増えています。
電力網からではなく、自家発電した電力をEVの充電に利用することで、化石燃料を使わないエコなカーライフが実現します。

・ 太陽光パネルの容量 

家庭用で、2kW~3kWの太陽光パネルを使うと、月に約150~250kWhの電力を発電できます。

・ EVの充電量 

電気自動車(例えば、日産リーフ)のバッテリー容量は約40kWh~60kWhです。
家庭の太陽光発電システムで、月に300kWh以上の電力を発電すれば、EVの充電に必要な電力をすべてまかなうことが可能です。 

 

5. 遠隔地への電力供給 

遠隔地や災害地域での電力供給には、太陽光パネルとバッテリーを組み合わせたシステムが活用されます。
電力網が整備されていない地域でも、太陽光を利用して基本的な電力供給が可能となります。 

・ 太陽光パネルの容量 

通常、2kW~5kWの太陽光パネルを設置することが多いです。これにより、昼間に最大で10kWh以上の電力を生成できます。 

・ 蓄電池の容量

5kWh~10kWhの蓄電池と組み合わせることで、夜間や曇りの日にも電力供給を維持できます。

 

 

太陽光パネルは、家庭や企業、遠隔地などで幅広く利用されており、それぞれのニーズに応じたサイズや容量を選ぶことが重要です。
一般的な家庭用では年間約4,500~5,500kWhの発電が可能で、商業施設では10kW以上のシステムを導入することが多く、太陽光パネルの導入によって、電気料金の削減や環境への負荷低減が実現できます。